帰国できない高齢夫婦(三木義一)

 強きを助け、弱きをくじく国税庁の姿勢を示す事例を紹介してみたい。  このご夫婦は長いこと外国で働き、外国の公的年金をもらってきたが、老後は日本で過ごしたいし、日本でも外国の年金を受領できるので帰国。ご主人が亡くなり、相続税の申告をした。すると、税務調査があり、ご主人の死亡により外国から遺族年金を受けるので、その受ける「権利」も相続財産だと言われる。年間500万円もらえる69歳の奥さんは、女性の平均余命を踏まえると、あと20年受けられるから、1億円を相続財産に加えろというのである。  実際にいくらもらえるか分からない金額に課税され、しかも、日本の遺族年金は課税されていないのにどうしてと聞くと、日本のは非課税規定があるが、外国のにはないという。そこで非課税規定を調べてみると、日本のも年金を受ける「権利」を非課税にしている わけではなく、完全に読み間違いをしている。私も加わり、説明をすると理由を二転、三転、四転。理由がないから、課税分はやめたらと言うと、処分しないと私が処分されると言い、強引に処分をしてくるのである。  これが今、日本中でおきている。だから、外国で働いてきた高齢夫婦達は帰国できないでいる。国税庁長官か、国会議員さん、誰かが早く誤りを是正してあげないと生きて日本の土を踏めないよ!